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猫ちゃんのおしっこトラブルについて パート2

2017.11.12

スタッフブログ

こんにちは。京都市 北区にある動物病院 京都および京都市上京区 ねこの病院 獣医師 尾関 康江です。

ねこの病院が開院してからもうすぐ1年を迎えようとしています。この1年で様々なねこちゃんの診察をさせて頂きました。また、ねこ専門の病院だからと遠方から来院される方もいらっしゃり、多くのご縁に感謝すると同時に、より的確な治療を提供できるよう努めていきたいと思います。

寒くなり例年通り増えてきた、ねこさんのおしっこトラブルの続きについて、今回お話したいと思います。この時期になると”トイレに何度も通うけれど少しずつしかおしっこが出ていない” ”トイレ砂に血が付着している” ”トイレにこもっている時間が長い” ”陰部を気にしてしきりに舐めている”といったおしっこに関連する症状が出ているねこさんを多く診ます。

尿の排泄経路に関わる、腎臓、尿管、膀胱、尿道、生殖器に何か問題があることでこの様なトラブルが出ます。また、泌尿器系と全く関係のない自己免疫などの病気が原因であることがあります。ねこさんでは特発性といって環境要因や精神的要因が原因となって、おしっこトラブルが出ることもあります。
今回は、この中で膀胱、尿道に問題がある場合についてお話します。

膀胱に問題がある場合、原因は大きく細菌、結晶(結石)、腫瘍、特発性に分かれます。これらは単独で起こる場合と、どれかが原因となって併発する場合があります。ねこさんで多い原因としては、特発性、結晶(結石)、老齢のねこさんでは細菌性があげられます。尿道に問題がある場合は、結石、尿道栓子、血餅が詰まっていることがあります。

特発性の場合、原因が特定されづらく、原因となり得るものを対処することで症状が緩和されます。例えば、環境の変化、多頭飼育による相互のストレス、トイレの変更、食餌の問題、運動不足など様々な要因があげられます。この中でも、トイレに対するストレスが大きな要因となっている場合が多いです。トイレ環境の改善策として、トイレ砂の材質を変更、多頭飼育の場合は頭数プラス1個のトイレ数、排泄中に他のねこから視線が届かない場所に設置するなどがあります。環境、多頭飼育での改善策として、人との適度な距離を保ち、ねこさんだけが自由に活動できるスペースを設ける、症状が出る前の環境に戻せるところはすこし工夫をするなどがあります。また、安眠、リラックス効果があるとされるミルクタンパク、幸せホルモンである”セロトニン”を生成するトリプトファンが配合された食餌を使用することも効果的です。これらの食餌は尿量や尿のpHを調整してくれる作用もあります。その他、フェロモン製剤が入った徐放剤やスプレーなどを使用することもあります。

結晶および結石が原因の場合は、その種類に応じて治療が異なります。
①食餌療法で溶解できる、②食餌では溶解できないために外科的処置による摘出が必要、③肝臓の機能に問題があることで結石ができるタイプに大きく分かれます。また、細菌性の膀胱炎を原因として結晶が出ている場合は、それを加療することで結晶が消える場合もあります。結石が尿道を閉塞している場合は、緊急性が高く、腎臓の機能も落としかねません。おしっこが1日近く出ていない場合は、急いで病院に連れて来てあげて下さい。

細菌が原因の割合はねこさんではあまり多くありませんが、老齢のねこさんでは免疫が落ちていたり、腎臓の機能が悪くなっていることで、細菌が増えやすくなります。この場合は、適切な抗生物質の投薬や点滴が必要になります。放っておくと、細菌が腎臓にまで影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。

寒くなるこの時期は、ねこさんの飲水量がさらに少なくなり、おしっこトラブルが出やすくなります。少しでも症状が出るようであればご相談下さい。

動物病院 京都 ねこの病院
獣医師 尾関 康江