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ねこちゃんの慢性腎臓病について

2017.03.07

スタッフブログ

こんにちは。京都市 北区にある動物病院 京都および京都市 上京区 ねこの病院 獣医師 尾関 康江です。

寒い冬も終盤になり、春に向けて日中の暖かさが増す日が増えてきたように思います。早いところでは桜が開花し始めました。ねこの病院の近くにある北野天満宮では、梅苑の公開がされ、駐車場付近に植わっている梅もきれいに色づいています。

今回は、ねこちゃんの腎臓病についてお話したいと思います。腎臓病は進行の程度によって急性と慢性に分かれますが、今回は中年齢以降のねこちゃんに多い慢性腎臓病についてです。進行がゆっくりなので、異変に気づきにくく、症状が出た頃には深刻な状態になっていることが多いです。腎臓は年齢とともに老化してきます。例外として先天的に腎臓に問題があり、若いころから腎臓病を発症するねこちゃんもいます。

腎臓の働きは①尿を産生する、②赤血球をつくることに関係しているエリスロポエチンというホルモンを産生する、③副腎皮質ホルモンの一つである電解質コルチコイドの分泌を調節するレニンという酵素を産生しています。      ① 尿を産生することで、身体のなかの余分な水を捨てるだけでなく、代謝で出た有害物を捨てたり、血液の中の成分を調整しています。また、腎臓の機能が落ちてしまうと、必要な水分がきちんと身体に吸収されなくなるので、飲水量が増えます。そして、病態が進行すると毒素が身体に残り、塩分バランスがうまく保てなくなるので、食欲が落ちたり、吐き気が増えます。                                          ② 赤血球の産生を促すエリスロポエチンが産生できなくなるので、赤血球が減少して貧血が進みます。         ③ レニンは蛋白質とくっつくことで血管を収縮させ、血圧をあげます。腎臓機能がおちると、腎臓へ流れる血液が少なくなるため、それを補おうとレニンが過剰に産生される結果として血圧が上がります。

 

引用 SA medicine 80号 株式会社 インターズー

腎臓が悪くなった時の症状はお水を飲む量が増える、おしっこの色が薄くなる、便秘がちになる、毛艶が悪くなる、口臭がきつい、何となく痩せてきた、といったあまり特徴のない症状が多く見られます。病状が更に進行すると、食欲廃絶、嘔吐、下痢が認められます。ねこちゃんの腎機能は、主に尿検査と血液検査、血圧測定で調べていきます。大まかには上の表のように、ステージ分類されます。

一度障害を受けた腎臓の機能は回復しません。そのため、残っている腎臓の機能を温存させるために、病状が進行するのを軽減します。ヒトで行われる腎移植という治療法はまだねこちゃんではきちんと整っていません。腎臓病の治療では、体から過剰に失われてしまう水分を外から補ってあげる点滴が基本となります。初期の段階であれば、腎臓に優しいご飯(リンやタンパク質の含有量が調整されたもの)、血圧を下げるお薬の併用などがあります。

 

点滴は院内で実施しますが、病院に来ることでストレスを感じるねこちゃんだったり、通院の負担が大きいときには、自宅での点滴のやり方を指導することもあります。また、腎臓食の中でも最近では、以前に比べて嗜好性の良いフードが増えて来ましたので、ねこちゃんも良く食べてくれています。何かお困りのことがございましたらご相談下さい。
また、中高齢のねこちゃんで、腎臓病以外の病気が隠れている場合もよくあります。最近病院に行っていないという方は、是非病院まで足を運んで下さい。看板ねこの、おいちゃんとまいちゃん、レアキャラのにまめちゃんに会いに来てください。

動物病院 京都 ねこの病院                                              獣医師 尾関 康江