2016.11.15
スタッフブログ
最近、食べ方が下手になってよくご飯を口からこぼす。口の周りをよくこすっている。
そんな変化起こっていませんか?
口を気にするという症状では、いくつかの原因が考えられますが、ネコさんということを考慮すると、口内炎が一番多いと日々の診療では感じています。
ネコさんの場合だとポチっとどころでなく、口の奥までひどく潰瘍ができていたり、炎症がきつくなってしまっていることもあります。
・口臭がキツくなる
・唾液に血がまじる
・口を頻繁に気にする
・口を痛そうにしてご飯が食べられずに痩せる
などの症状がでていると要注意です。
難治性歯肉口内炎と呼ばれるこの疾患は、ネコの数%にみられると言われています。
原因は口腔内の細菌、免疫低下を引き起こす猫エイズウイルスや猫白血病ウイルス、その他ウイルスの関与、また免疫反応の異常が関与すると言われていますが、まだはっきりとはわかっていません。
上記の画像は、左はいわゆるネコさんの口内炎、右は正常の口腔内写真です。
黄色矢印で示す部分には口腔の後部(口峡部)の粘膜に著しい炎症と肉芽様組織の増生が起きています。ここまでなると、食事が喉を通るときに、触れてしまって、ひりひりして口が痛くてまともにご飯を食べることも多く、できなくなります。
治療としては、一般的に①内科的治療と②外科的治療が行われます。
①内科的治療
抗生物質、ステロイド剤や消炎鎮痛剤、インターフェロン
②外科的治療
抜歯(全臼歯or全顎歯抜歯)、歯石除去
内科的治療ですが、一時的に症状の改善が見られたとしても、完治することはなく、投薬をやめると再発することがほとんどです。最も効果的なのはステロイド剤ですが、使い続けるうちに効果が悪くなったり、副作用の問題が現れてきます。
完治を目指すには、外科的な治療が必要になります。通常は全臼歯抜歯を行って、数ヶ月経過を確認し、効果がない場合は全顎抜歯を行います。全臼歯抜歯の治癒率は60~70%、全顎抜歯では更に+10~20%と言われています。
自分の身で考えると、ご飯をおいしく食べられないのはすごく悲しいことですね。猫さんたちの
口に出来ない口の訴えを見逃さないようにしてあげてくださいね。