2022.02.07
スタッフブログ
こんにちは
動物病院 京都、ねこの病院 院長の谷田美和子です
2月になり
暦の上では春らしいですね
まだまだ寒いですが・・・
さて、前回のにゃん日誌にてなかなか軟便が治らず
外部検査を実施した陽坊っちゃん。
今回はその後のお話をしたいと思います。
まずは再度検査結果を載せてみます
陽性(+と表示のあるもの)は
①猫コロナウイルス
「コロナ」と聞くと、昨今私達人の世界ではやっているCOVID-19を連想しますが、
全く別のコロナウイルスです。
猫ちゃんのコロナウイルス感染症には
FECV(腸コロナウイルス)とFIPV(猫伝染性腹膜炎ウイルス)
の大きく2つのタイプがあります。
今回、陽坊っちゃんは臨床症状などからFECVタイプでした。
基本的に腸コロナウイルス自体の病原性はさほど高くなく
症状も軽症なことから対症療法を施すことが一般的です。
(※つまり、目くじらを立てて倒す相手かというと・・・という解釈)
②クリプトスポリジウム
原虫(寄生虫感染)の病気
今まで何頭もこの検査を実施してきましたが陽性出たのを見たのは初めてです。
そして・・・
「お久しぶりです!」となりました
実は、大学のときに寄生虫研究室に所属していたので割と顔なじみの寄生虫だったのです。
この寄生虫も重篤な症状は起こしにくく、自然治癒することが多い。
加えて日本では抗クリプトスポリジウム薬はなく・・・
(※こちらも、①と同様のニュアンスですね)
しかし公衆衛生上は重要な寄生虫だったりしますので
糞便中に排出されたオーシスト(寄生虫の卵)を死滅させ再感染させないことが重要
ということで、結局「コレ!」という治療がないため
ひとまず
「寄生虫には熱湯消毒」という恩師の言葉を思い出しながら
ひたすらケージ、タオル、トイレを熱湯消毒
そうすれば陰性になり晴れてお家にお迎えすることができるだろう!
ということで頑張ってみました
スタッフの皆も協力してくれました。ありがとう。
・・・・・・10日後・・・・・・
あんなに頑張ったのに・・・さすがに少し疲れました・・・
寄生虫感染で来院される方にお話している熱湯消毒。
かなり大変ですし、消えていなかったときの精神的疲労が…身にしみて実感しました。
熱湯消毒頑張ってくださっている患者様、心からありがとうございます。
さて、さすがにこれ以上病院に置かせてもらうわけにも行かないので
自宅でも
①熱湯消毒を行う
②しばらくはケージから出さない
③くりさんとは接触させない
という条件で、旦那さんとも合意し自宅につれて帰ることにしました。
いよいよ、2頭との生活のスタートです
ここから一体どんな毎日が待っているのでしょうか?
続きは次回をお楽しみに
動物病院 京都
ねこの病院
院長 谷田美和子