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尿管閉塞について

2020.07.10

スタッフブログ

こんばんは。
京都市上京区にある、ねこの病院 獣医師の 小川 修平です。

先日、1年に1回開催される日本猫医療学会の年次大会に参加してきました!
その名も猫の集会です!

今年は新型コロナの影響もあり、Web開催だったのですが、多くの方が参加されていました。
猫さんの病気について最新の知見を学んだので紹介します。

今回は猫さんの尿管閉塞について書きたいと思います。
そもそも尿管?尿道?など言葉がややこしいですが尿管とは尿を生成する腎臓と、貯蔵する膀胱を繋ぐ管のことです。

尿管閉塞とは様々な原因で尿管が塞がってしまう状態です。

最も多い原因は結石による尿管閉塞です。
結石が多い理由として
①昔よりも食餌で溶けない結石(シュウ酸カルシウム結石)が増えてきた
②猫さんの尿管の直径が4mm程度しかない(マウスでも同じくらいの直径)
という理由があります。

結石が詰まると尿を膀胱に送れなくなり腎臓に負担がかかり水腎症という風船が膨れたような状態になります。
水腎症という状態が続くと腎臓がダメージを受け、機能が戻らなくなります。
そうなるとその腎臓は尿を作れなくなり、逆側の腎臓に負担がかかり、腎機能は徐々に低下していきます。
両方の腎臓に結石が詰まった場合は急激に腎機能が低下し、場合によっては24時間以内に亡くなってしまうこともあります。

このように尿管閉塞は命に関わる非常に危険な病気です。

そして厄介なのは尿管閉塞は症状がわかりにくいことにあります。
尿管閉塞の症状は、元気がない嘔吐している、などのおしっこには関係ないような症状のこともあります。
ただし、腎臓への負担が増えると自宅での飲水量と尿量が増加します。
これは非常に重要な症状ですので普段から飲水量と尿量を見る癖をつけておいて下さい。

そのため、一見分かりにくい症状でも腹部超音波検査で腎臓をチェックしておくのが必要があります。

もし尿管閉塞があれば腹部超音波で拡張した腎臓や尿管が発見できます。

尿管結石の治療は内科的にお薬で尿管を広げて自然に結石が流れるのを待つか、外科的に尿管結石を摘出するかの2通りの治療があります。
年齢や結石の状態や尿管の拡張具合を見て決めることが多いですが、約3日間内科治療をして流れない場合は外科を選択すべきとのガイドラインもあります。

外科治療は尿管から直接結石を摘出する方法と、腎臓から膀胱にドレーンを入れ、別の尿の通り道を形成する手術がありますが、結石の数や位置などで決めることが多いです。

最近とても多い病気のため、上記のような体調の変化があればすぐに来院してもらえればと思います。

 

動物病院京都 ねこの病院
小川 修平